人気ブログランキング | 話題のタグを見る


野草・野鳥・風景写真集


by shunfb

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

My Page

野草と野鳥の写真館

私のホームページです。
こちらもよろしく。

最新の記事

ブログ再開しました
at 2018-05-21 11:33
再び乗鞍岳へ その3
at 2017-09-05 08:58
再び乗鞍岳へ その2
at 2017-09-03 20:55
再び乗鞍岳へ その1
at 2017-09-03 08:08
木祖村の野草 その3
at 2017-09-02 07:00

カテゴリ

全体
  愛知県
野 草
  岐阜県
  三重県
  静岡県
  長野県
  山梨県
  滋賀県
  大阪府
  京都府
  奈良県
  兵庫県
  福井県
  石川県
  新潟県
  写真展
HP表紙画像
野 鳥
風 景
読 書
ときどき日記
未分類

タグ

(68)
(65)
(55)
(55)
(54)
(53)
(43)
(42)
(39)
(35)
(35)
(30)
(26)
(25)
(25)
(22)
(20)
(16)
(14)
(10)

以前の記事

2018年 05月
2017年 09月
2017年 08月
more...

画像一覧

記事ランキング

検索

その他のジャンル

藤沢周平のこと

最近は歴史小説から遠ざかっており、時代小説を読むことが多くなった。その中でも藤沢周平の著作が大半を占める。彼の小説の主人公は、いわゆる英雄・豪傑といった世に名を知られた人はほとんど登場せず、下級武士や市井の庶民の生活を題材にした人情味あふれる物語を数多く手がけている。

彼の出身地は現在の山形県鶴岡市。雪深い地であることや若い頃結核で5年を超える闘病生活の挙句、勤めていた教師の職を失ってしまい、業界紙の編集の仕事に携わることとなるが倒産が相次いだこともあって数度の転職を余儀なくされた。作家として世に認められるようになったのは、彼が44歳のとき「溟い海」で第38回オール讀物新人賞を、次いで翌年に「暗殺の年輪」で第69回直木賞を受賞してからのことだから特別早いというわけでもない。

現在までに読んだ彼の小説はまだ25冊。主だったところでは捕物シリーズが3冊、用心棒シリーズが4冊。長編小説が5冊。その他は短編集である。これだけで彼の小説について論評を加えるのは時期尚早であるが、同じ時代小説を書いた山本周五郎が総体的に見れば人間の生き様を描いているのに対して、人情味あふれるストーリー仕立てで、読後に優しい余韻が残る作品が多いような気がする。

藤沢周平はハードボイルド小説の愛好家であるためか、前述した捕物シリーズの「彫師伊之助捕物覚え」(新潮文庫)では、ミステリータッチの構成でいわゆる人情物や武家物、剣豪物とは異質な物語となっている。もう一つ異色なのは「一茶」(文春文庫)で、これは彼には珍しく伝記小説である。俳人としての一茶は、どことなくユーモラスな句を数多く残しており、当時の俳壇においてはむしろ異端とも言える存在であり、その生涯は決して恵まれたものではなかったようである。

彼の人となりを知るために、一人娘の遠藤展子「父・藤沢周平との暮し」(新潮文庫)も読んだ。そこで語られた父・藤沢周平の姿は、「父は普通でいること、平凡な生活を守ることにこだわっていたのです。」とあるように、その外見からも想像できるとおり、優しく物静かなイメージである。しかし、「カタムチョ(庄内地方の方言で、「意固地」「頑固」)な一面もあったようで、几帳面な性格もこんなところからきているのかもしれない。

もう一人の時代小説作家、池波正太郎は、「小説は面白くなければいけない」と常々語っているように、エンターテイメント性を重視した作風で、前二者がどちらかと言えば内向きというか内省的であるのとは好対照をなしている。それはそれで読者の好みの問題であって、どちらが良いというものではない。

あるWebサイトに藤沢周平の著作リストが掲載されており、そこには文庫本だけで70冊近い本が紹介されている。私には、気に入った作家の本はとことん読みつくすという困った性癖があるので、いつの日か藤沢周平の小説やエッセイも完全読破することになると思う。
by shun_photo | 2013-10-25 15:11 | 読 書