野草・野鳥・風景写真集


by shunfb

プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

My Page

野草と野鳥の写真館

私のホームページです。
こちらもよろしく。

最新の記事

ブログ再開しました
at 2018-05-21 11:33
再び乗鞍岳へ その3
at 2017-09-05 08:58
再び乗鞍岳へ その2
at 2017-09-03 20:55
再び乗鞍岳へ その1
at 2017-09-03 08:08
木祖村の野草 その3
at 2017-09-02 07:00

カテゴリ

全体
  愛知県
野 草
  岐阜県
  三重県
  静岡県
  長野県
  山梨県
  滋賀県
  大阪府
  京都府
  奈良県
  兵庫県
  福井県
  石川県
  新潟県
  写真展
HP表紙画像
野 鳥
風 景
読 書
ときどき日記
未分類

タグ

(90)
(81)
(81)
(79)
(78)
(75)
(73)
(58)
(49)
(41)
(30)
(11)
(7)
(4)
(1)

以前の記事

2018年 05月
2017年 09月
2017年 08月
more...

画像一覧

記事ランキング

検索

その他のジャンル

塚本青史「王莽(おうもう)」(講談社文庫)

私が初めて古代中国の歴史小説に接したのは吉川英治の「三国志(全8巻)」(講談社)だったと記憶している。これは日本人作家による三国史の草分けとも言える小説で、中国の明代に書かれた「三国志演義」が原本となっている。三国志演義は、後漢末期に魏・蜀・呉の三国が覇権を競いあった時代の物語で、劉備玄徳や諸葛孔明といった武将の活躍を中心とする言わば講談本のような内容である。

三国史の時代を遡ること約4百年前、秦の滅亡後、楚の項羽を倒して覇者となった劉邦が漢という国を興した。これが前漢と言われる時代の始まりである。この楚漢戦争を題材として著したのが司馬遼太郎の小説「項羽と劉邦」である。以後200年に渡って続いた漢王朝も後継者に恵まれずついに滅亡の時がやってくる。そこに登場するのが王莽である。

作者の塚本青史は、「王莽」の他にも漢王朝時代の人物を主人公とする小説を数多く執筆している。私の蔵書にある「光武帝」「仲達」「呂后」もこの時代の物語である。ただ、残念なことは、現在も活躍中の作家であるにも関わらず、彼の小説を求めようとしてもよほど規模の大きな書店でないかぎり店頭に本が置かれてないことだ。やはり同じ古代中国の歴史を扱う小説家の中でも宮城谷昌光や陳舜臣と比べると知名度が低いからかもしれない。

さて、王莽のことである。彼は、前漢の元帝の皇后・王政君(孝元皇后)が叔母にありながら、父と兄が早逝したために彼の一家のみが侯に封ぜられず貧しい生活を余儀なくさせられていた。しかし、勉学に努めて次第に頭角を現し、壮年になると皇太后となった伯母の後ろ盾もあって順調に出世を遂げる。権力が増すにつれて競争相手を次々に葬り去るようになり、やがて自ら「仮皇帝」「摂皇帝」となり朝政の実権を掌握し、ついには皇位を簒奪して皇帝に即位し、新を建国した。

彼の政治は、数百年も前に存在した周王朝時代の制度を理想とするものであったが、これが現状にそぐわないものであったため、各種の政策が短期間にことごとく破綻し、財政的も困窮を招くこととなった。そうこうするうちに生活の立ち行かなくなった民による反乱(赤眉の乱)が続発し、大混乱に陥った。そして臣下にも欺かれるようになり、とうとう劉玄(後の光武帝)率いる緑林軍に滅ぼされて1代限りの皇帝として果てた。

この小説では、王莽は最初のうちは善政を行い、民衆の支持を得てそれにつれて地位も上昇していったのであるが、そのうちに権力の虜になってそれがために自滅への道を辿ることになる。古今東西を問わず、絶対的権力を手にした者はいづれ腐敗し、崩壊の憂き目に遭うことは歴史が教えるところである。現代の政治においても自らの理想を実現するための手段として権力を追求するが、いざ権力を得るとそれがいつの間にか変質して権力を維持することだけが目的化するようになり民衆の支持を得られなくなる。

古代中国や日本の歴史小説を読んでいると、人間の弱さ、浅はかさというものは時代を経ても本質的には変わらないのではないか思えてくる。もちろん、時代によってその現れ方は変化するのは当然であるが、人間に情念というものがあるかぎり権力者の奢りは眼を曇らせ、自己本位、単視眼的な物の見方しかできなくするようである。
by shun_photo | 2012-12-14 14:29 | 読 書