野草・野鳥・風景写真集


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小説家・吉村昭のこと

数週間前、ネット通販で注文しておいた吉村昭の小説が届いた。これで彼の作品は86冊になった。蔵書数が詳細に分かっているのは、重複購入を防止するために彼の著作リストが作ってあって、購入するとチェックマークを入れているからである。このリストによると、購入予定の本の68%を入手したことになっている。ただし、残りの本は概ね絶版となっているので今では古書以外には入手できなくなってしまった。

吉村昭の小説は、最初のうちは幕末を背景とした歴史小説だけを選んで読んでいた。ところが数を重ねるにしたがって彼の小説の魅力に引き込まれ、瞬く間に歴史小説を読み尽くしてしまった。そのうち「戦艦武蔵」を手始めに、いわゆる「戦記物」や「漂流記物」などの異なるジャンルの小説や随筆にも手を伸ばし、今では彼の作品を可能な限り探して読んでみたいと思うようになった。

彼の作品の特徴は、戦国時代を例にとると織田信長、豊富秀吉、徳川家康など、また幕末では昨年もNHKの大河ドラマの主人公ともなった坂本竜馬や勝海舟、西郷隆盛といったいわゆる歴史上の英雄とか著名な人物というよりも、歴史の傍流に生きた人物を主人公にした物語が多い。それぞれの小説には主人公が置かれた当時の時代背景が的確に捉えられ、時代との関わりの中で主人公の生き様が鮮明に描かれている。こうした点も内容に重みを加えている要素なのだろう。

現代物の小説では、彼自身が若い頃に重度の結核に冒されて生死の間を彷徨った経験があることや、第二次世界大戦のさなかに青春時代を送ったことが、彼の人生観にも強い影響を与えているものと考えられ、「死」に関わる物語が数多く見られるのが大きな特色である。彼の作風は、膨大な資料収集を行い、かつ、現地踏査を重ねて史実を丹念に調査し、その上に立って物語を構成している。こうした彼の小説スタイルが「記録文学」とも称される所以でもある。

また、文章の記述にあたっては、個人的な感情を極力排して抑制の効いた内容となっており、むしろこのことがより強く読者に訴える力になっており、史実の重みと相まって迫力のある文章を構成している。小説の内容はおおむねどれも地味なだけにエンターテイメント的娯楽性を求める読者には違和感を感じるかもしれない。ただ、彼の随筆を読むと、全く飾り気がなく、暖かい人柄が随所に滲み出ており、思わず頬がゆるむこともしばしばである。

すでに故人となってしまい、今更彼の新作が発表されることは望むべくもなく、元気ならばまだまだ著作活動を行うこともできたであろう年齢で他界したことは非常に残念なことである。まだ既刊で未読の小説もかなりあるので、これからも古書店を頼りに彼の小説を読み続けていきたいと思う。
by shun_photo | 2011-02-14 19:35 | 読 書