野草・野鳥・風景写真集


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高橋克彦「風の陣(全5巻)」

高橋克彦の東北を舞台にした小説はこれまで、講談社文庫の「火怨(全2巻)」、「炎立つ(全5巻)」、「天を衝く(全3巻)」のいわゆる東北三部作を読んだ。今回は「風の陣(全5巻)」(PHP研究所)。時代的には、「風の陣」が一番古くて奈良時代、「火怨」、「炎立つ」が平安時代、「天を衝く」はグッと時代が下って安土桃山時代が物語の時代背景となっている。いずれの小説も東北地方での歴史的事実をベースにした作品である。

正直なところ、東北地方の歴史については殆ど知識がなく、この地で藤原三代が栄華を誇ったことや源義経が最期を遂げた地であることを小説などを通してかろうじて知りえたぐらいであった。ましてや奈良時代のこととなると、神代の時代から平安期の雅やかな時代へ移行する過渡期な時代という認識しかなかった。この度「風の陣(全5巻)」を読んで、遥か昔この地方で波乱に富んだドラマが繰り広げられていたことなど想像も及ばなかった。

かつてこの地方に住む人は蝦夷(えみし)と呼ばれていた。それは本州東部以北にあって時の大和朝廷によって異族視されていた人々に対する呼称である。「夷」が東の異民族を指す字で中華思想を日本にあてはめた結果とされる。近代、蝦夷(えぞ)といえば北海道地方の異名を意味するが、「えぞ」が使われ始めたのは11世紀か12世紀であり、「えみし」と「えぞ」は同じ「蝦夷」の字を用いていても歴史に登場する時代が全く異なり、区別して考えなければならないという。

奈良朝以前にも蝦夷は大和朝廷の勢力範囲拡大による迫害を受けていたが、この地方が一躍脚光を浴びたのは陸奥の国から黄金が産出したことによる。物語はこの小説の前半の主人公でもある牡鹿の若者、丸子嶋足(後の道嶋 嶋足「みちしま の しまたり」)が黄金を土産に帰京する陸奥守の従者となり平城京に上るところから始まる。

彼は中央政界の血なまぐさい政争に巻き込まれながらも次第に頭角を現し、蝦夷の者としては異例の出世を遂げる。しかし、黄金を求めて蝦夷を支配せんとする朝廷の圧力が増すにつれて陸奥の国は次第に追い詰められていく。そこに登場するのが若きリーダー、伊治 呰麻呂(これはるのあざまろ、小説では鮮麻呂)と物部天鈴。彼らはついに朝廷の圧政に耐えかねて蝦夷の民を纏めて叛乱を起こす。

この小説では、登場人物や背景となる時代の流れは概ね史実に沿いながらも、往時の文献・資料が乏しいことから、ストーリーは作者が大いに想像を働かせ、全5巻の各巻には大きな出来事を配置するなど読み物として実に迫力のある構成となっており、まさに「読み出したら止まらない」ほど面白い作品である。

ところで作者の高橋克彦のことであるが、岩手県釜石市生まれで現在も盛岡市に在住している。それゆえに東北地方の故事を題材に小説を書くのはうなずけるところであるが、彼の言葉を借りてその動機を紹介すると、『自分のコンプレックスを形成しているのは、出身地である東北の歴史に自慢できるものがないからだと気がついた。なんとかこのコンプレックスを振り払いたい、若い人たちにも、このコンプレックスを払拭してほしい――そんな思いから、目にも留めていなかった東北の歴史をひもとき、蝦夷の視点から歴史を見直した小説を書いてきました。正史に記された出来事も、蝦夷の視点から見ると、百八十度違って見えることもあるのです。「歴史街道7月号」より』ということであった。

上記以外の彼の歴史小説では、「時宗(全四巻)」(講談社文庫)を読んだ。時は鎌倉時代。13世紀の蒙古襲来の際に八代目の執権として事に当たった北条時宗が主人公の物語である。この本もなかなかに読み応えがあった。高橋克彦が「作家になりたいと思ったのは、伝奇小説やSFが書きたかったから。」と語っているとおり、その著作の多くは伝奇小説やSFであるが、私はこちら方面にはあまり興味がないので読む本は歴史小説に留まっている。
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by shun_photo | 2012-01-25 20:01 | 読 書